手放せなくなるレザーグッズを
地元の皮革で
オリジナルやオーダーメードの革製品の製造販売のほか、自分で革製品を作れる体験レッスンも人気のM’s FACTORY。扱う皮革は、皮革加工が盛んな播州地方(姫路市や近隣のたつの市)から調達し、地元の地場産業を盛り上げています。地元で若手職人の育成にも長く携わり、30年以上皮革製品を作り続ける小田さんにお話をうかがいに、姫路市の山麓にあるガーデンカフェ「ザッパ村」内の、工房兼店舗を訪ねました。


ガレージ感のある素敵な空間ですね
外壁だけの何もない倉庫だった建物を、板金職人の義父にも手伝ってもらって妻と3人でDIYしました。ドアが重かったり、よく見ると隙間も空いてたりちょっと難はあるんですが、全部手作りです。
いろんなレザーグッズが並んでいますね
アイデアを形にするとき、型を起こすまで時間がかかりますね。型を作って試作して、ちょっと調節してまた試作してというのを繰り返しながら理想に近づけていく。そこには時間をかけています。革物は、長く使うほど良い味わいが出たりするので。デザインもシンプルで長く使える飽きがこないものをと思っています。そこは昔から変わってないですね。日々、より良いものを作ろうと思っています。
皮革製品は姫路の地場産業。革の調達も姫路で?
そうですね。姫路市やたつの市にある製革所さんから直接仕入れています。「革の地産地消、産地直送」になりますね。国産の革も海外産の革も、革自体に優劣はありませんが、加工の仕方で品質の差が出てきます。とくに姫路の馬革加工は世界的にも有名で、馬の臀部の革を加工した「コードバン」は、革のダイヤモンドといわれています。
革小物はいつから作られているんですか?
30年くらい前かな。当時バイクにどハマりしていて、バッグやベルト、工具入れをコソコソ自分で作っていました。そしたら友達から「俺のも作って」と頼まれて「え~しょうがねぇなぁ」と。それからいろんな友達から頼まれたり、フリマにも出すようになってから縫製技術を習う教室に通ったことでハマっていったという感じです。

その頃から職人として独立も考えていた?
いや、まったく。その教室と姫路市と皮革業者の団体が、皮革職人を育成するために店舗兼工房をつくるプロジェクトができて、その工房(革工房BAIMO)の立ち上げから関わりました。懐かしいですね。当時、私は違う仕事をしながらボランティアで初代工房長をしていたんです。その工房のコンセプトが「皮革職人の育成」で、独立第1号目が必要ということで工房長だった僕に周りからの圧が(笑)。その時で40代ですね、工房長として3年経って自宅でお店と教室を始めて、なんとかここまでやってこれました。

店舗には10台近いミシンが並ぶ。いずれも年代物だが、壊れにくいとか。縫う部分によって使うミシンも変わる。長年愛用している刀は、刃も短くなっている

最近のオススメは、柔らかいレザーで作った「きんちゃく」。スマートフォンや財布をいれても余裕があるサイズ感

猫好きが高じて、猫をモチーフにしたアイテムも増加中。モデルは愛猫のカイくんやオハナちゃん

猫好きの小田さんご夫妻、ザッパ村でも2匹がパトロール中
続けてこられた中で、転機になったことは?
妻と一緒にやるようになってから、デザインの幅はだいぶ変わりました。女性ならではの優しい感じのデザインも増えてきたと思います。私だけでやってたら、猫がついた可愛いデザインは考えつかないですもん。
体験教室も人気ですね
メニューの中から作りたいものを選んで、ミシンを使って作ってもらっています。遠方や海外からの旅行客も多いですし、社員旅行で来られたグループもいます。先日、ばあばのためにミニトートを作った小学生の子も上手でしたよ。企業のイベントや学校の総合学習の授業で、レザークラフトを教えにいくこともあります。実は以前、117グループさんにも教えにいったことがありますよ。結婚式場でレザークラフトづくりをしてもらいました。私も楽しいですね、教室は。
そうだったんですね。革の加工から手がけることに興味は?
一時はやってみたいとも思いましたが、革を作るのは革づくりを極めた人に任せて、やっぱり自分は作るところ、縫製を極めたほうがいいかなと。
今後の目標をお聞かせください
やっぱりいいものを作りたい。先日TVで、ある職人さんが「最高のものを作りたい、それが死ぬ前の日でも出来たらいい」と言っているのを観ましたが、僕もそれを目指していきたいなと。自分でいいと思えたものが、より多くの人にも「いいな」と思えるものができたらいいですね。

オーバーオールとキャスケットが小田さんのトレードマーク
■ 取材を終えて
革製品は、使う人に馴染むように感触や色がじんわりといい風合いに育っていき、気づけば何十年も使っていたということも少なくありません。それが革の加工も、製品づくりも地元だと、ますます親近感が湧くことでしょう。小田さんのレザーグッズは、使う人の生活や習慣に寄り添う、シンプルで馴染みやすいアイテムです。ちなみに、オーダーメードは現在2~3カ月待ち、と大人気です。

■ プロフィール
1961年兵庫県出身。京都の大学を卒業後、陶器店で営業に従事。家業を手伝うために姫路にUターン。皮革縫製の教室で技術を学び、姫路市及び姫路市皮革産業活性化事業会が設置した若手職人育成工房兼店舗『革工房BAIMO』の初代工房長に。2009年に独立し、M’s FACTORY設立。兵庫県革製品研究会会員。
■ 連絡先
M’s FACTORY
兵庫県姫路市石倉54-1 ザッパ村
https://www.ms-leatherschool.com/